コーヒーの成分|香り成分

この記事でわかること

コーヒーの香り成分は何種類あるかご存知ですか?私たちが普段何気なく飲んでいるコーヒーには驚くほどの種類の香り成分が含まれています。

目次

コーヒーの香り成分は現在1,000種類以上


コーヒーの香りは、焙煎や抽出によって生じるさまざまな化合物から成り立っています。

1. ピラジン類(約100種類)

コーヒー特有の「香ばしさ」や「ナッツのような香り」に関与。

例:2-メチルピラジン(ナッツ香)、2,3,5-トリメチルピラジン(ロースト香)

2. フラン類(約150種類)

キャラメルのような甘い香り。焙煎時に糖が分解されて生成。

例:フルフリルアルコール(カラメル香)、フルフラール(甘い香り)

3. ケトン類·アルデヒド類(約200種類)

フルーティーな香りやスモーキーな香りの要因。

例:アセトイン(バターのような香り)、メチルグリオキサール(焦げた香り)

4. フェノール類(約50種類)

スモーキーな香りやスパイシーな香りを形成。

例:グアイアコール(燻製香)、4-メチルグアイアコール(スモーキー香)

5. チオフェン類·含硫黄化合物(約100種類)

コーヒーの「深みのある香り」に貢献する成分。

例:メルカプトメチルフラン(ロースト香)、メチルチオフェン(焦げ臭)

6. エステル類(約100種類)

フルーティーで甘い香りを付与。

例:酢酸イソアミル(バナナ香)、酢酸フェネチル(花のような香り)

7. ラクトン類(約50種類)

ココナッツのような甘い香りやミルキーな香りに関与。

• 例:γ-ブチロラクトン(クリーミーな香り)

うち、主要なものは約800種類といわれています。

これは、焙煎の温度·時間や、コーヒーの品種·生産地·発酵方法によって異なります

特に、浅煎りはフルーティーで華やかな香りが強く、深煎りはスモーキーで香ばしい香りが強いという特徴があります。

コーヒー1杯に含まれる香り成分の種類


コーヒー1杯(抽出液)には、おおよそ 300~400種類の香り成分が含まれていると考えられています。

コーヒー全体では1,000種類以上の香り成分が確認されていますが、1杯のコーヒーに含まれる香り成分は以下の理由で限定されます。

1. 焙煎の影響

焙煎の過程で、一部の成分は分解·変化するため、すべての香り成分が最終的にコーヒーに残るわけではありません。

例えば、浅煎りではフルーティーなエステル類が多く、深煎りではスモーキーなピラジン類が増える。

2. 抽出の影響

香り成分は水に溶けやすいものと溶けにくいものがあるため、全ての成分が抽出されるわけではない。

エスプレッソのような高圧抽出ではオイル成分が多く出やすく、ドリップコーヒーでは繊細な香りが多く抽出される。

3. 揮発性の影響

香り成分は揮発性が高いため、淹れたてのコーヒーと冷めたコーヒーでは香りの組成が変化する。

高温ではフローラルやフルーティーな香りが感じやすく、冷めるとナッツやチョコのような香りが目立つ。

4. コーヒーの品種·産地の影響

エチオピア産のナチュラルプロセスの豆は、エステル類が多くフルーティーな香りが強い。

一方、インドネシアのマンデリンは、ピラジン類やフェノール類が多く、スモーキーでスパイシーな香りが強い。

人が知覚できるコーヒーの香り成分の数


コーヒーには 1,000種類以上の香り成分が含まれており、一杯のコーヒーには300~400種類もの香り成分が含まれていますが、実際に人が知覚できるのは約30~40種類程度だと言われています。

なぜ知覚できる成分が限られるのか?

1. 嗅覚の感度の限界

人間の嗅覚は鋭いものの、すべての香り分子を識別できるわけではありません。

例えば、一部の微量成分(ppbレベル=10億分の1の濃度)では、香りとして感じるには濃度が低すぎます。

2. 香りの相互作用

いくつもの香り成分が混ざることで、一つ一つの成分が明確に感じられなくなることがあります。

例えば、チョコレートのような香りはピラジン類やフルフラールなどの複数の成分が組み合わさることで生じます。

3. 嗅覚疲労(アダプテーション)

コーヒーの香りを長時間嗅ぎ続けると、特定の香りに慣れてしまい、一部の成分が感じにくくなります。

4. 個人差

人によって嗅覚の敏感さが異なり、特定の香りに対する感度が違う(例:ワインのソムリエは細かい香りの違いを識別できるが、一般の人はそこまで細かく感じられない)。

以下のような成分は、比較的強く知覚されることが多いです。

成分の種類 主な香り 代表的な成分
フローラル花のような香りリナロール、ゲラニオール
フルーティーベリー 柑橘系酢酸イソアミル(バナナ)、β-ダマセノン(リンゴ)
ナッツ系ローストナッツ、アーモンド2-メチルピラジン
チョコ·キャラメル甘い香ばしさフルフラール、2,3,5-トリメチルピラジン
スパイシーシナモン クローブオイゲノール
スモーキー焦げた香りグアイアコール
ウッディ樹木のような香り4-メチルグアイアコール
アーシー土っぽい香り2-メチルイソボルネオール
バター·ミルキークリーミーな香りジアセチル
ワイン系発酵感 赤ワインのような香りβ-フェニルエタノール

コーヒーには 1,000種類以上の香り成分が存在しています。 1杯のコーヒーには 300~400種類の香り成分が含まれていますが、人が知覚できるのは約30~40種類程度です。

香りの知覚には濃度·相互作用·嗅覚疲労·個人差などの要因が関係する。

香りの感じ方は人それぞれですが、トレーニングを積むことでより多くの香りを識別できるようになります!

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