「ドリンクに乗せる生クリームの秘訣!シロップと生クリームの組み合わせ方①」で記述した内容をクリームを中心に深掘りしていきます。
何故チェーン店では冷凍ホイップやエスプーマが使われるのか。また生クリームを適切な状態で管理するための方法を説明します。

ドリンクに乗せる生クリームのレシピのおさらい
動物性40~42%を使う
器具は清潔によく冷やしておく
基本レシピ
- 生クリーム 90g
- 牛乳 10g
- グラニュー糖 8~10g
ホイッパーでもったりするまでたてる
ボトルに入れよく振る
フレーバーシロップを使ったアレンジ
使用するフレーバーシロップは冷蔵庫で冷やしておく
- 生クリーム 100g
- フレーバーシロップ 10g
ホイッパーでもったりするまでたてる または ボトルに入れよく振る

調整の方法
基本レシピ
クリームが柔らかすぎる
牛乳の比率を減らすクリームが固すぎる
牛乳の比率を増やすフレーバーシロップを使ったアレンジ
クリームが柔らかすぎる
シロップの比率を減らすクリームが固すぎる
シロップの比率を増やすただしフレーバーシロップはメーカーはもとよりフレーバーによっても糖度が違います。なのでベストなレシピを見つけるためには砂糖や牛乳を使った調整が必要になります。
甘さが足りない、でもこれ以上柔らかくしたくない
砂糖を足す。3g程度でも随分変わります。甘みが強い、でも柔らかくしたい
牛乳を足す。5ccでも十分変わります。
生クリームの変質
①でチェーン店では扱えない、と書いた理由が生クリームの変質が理由です。入れ替わり立ち替わりするスタッフに一貫した再現性を求めるのはなかなかに難しいのではないでしょうか。生クリームは繊細な食材であり、温度や水分、撹拌方法などさまざまな要因によって質感が変化します。特に業務用として使用する際には、保存方法や作業の再現性に配慮する必要があり、これがチェーン店での取り扱いを難しくする要因となっています。そのため、安定した品質を求める場合には、適切な保存管理や代替手段の活用が重要になります。
時間
生クリームは泡立てた直後が最も理想的な質感を持っていますが、冷蔵庫で保管すると時間とともに質感が変わります。
生クリームを日頃から使っている方ならご存知と思いますが、泡立てた生クリームは、冷蔵庫で保存すると若干固くなることがあります。これは、生クリームの脂肪分が冷却によって凝固し、クリームの構造が引き締まるためです。特に、牛乳やシロップなどの水分を加えていない場合、この現象はより顕著になります。
一晩経過すると、いわゆる「ダレる」現象が発生します。これは、生クリーム内部の水分と脂肪の分離が進み、クリームの構造が崩れるためです。この状態になると、見た目も滑らかさを失い、味のバランスも変わってしまいます。特に業務用として使用する場合、作り置きをするとこのような変化が避けられず、再度立て直す工程が必要になります。
温度
温度は生クリームの質感に大きく関わります。生クリームの脂肪分は低温では凝固しやすく、高温では溶けやすくなります。そのため、適切な温度管理が非常に重要です。
- 低温(5℃以下):生クリームが締まり、硬くなる。
- 適温(5~10℃):理想的な滑らかさを維持できる。
- 高温(10℃以上):脂肪が分離しやすく、ダレやすくなる。
水分を多く含む生クリームは、時間が経っても質感の変化が比較的少なくなります。例えば、牛乳やシロップを加えた生クリームは、水分が均一に分散するため、固まりすぎたりダレたりするリスクを軽減できます。一方で、純粋な生クリームを泡立てた場合は、水分が少ないため変化が顕著になります。
紹介したトロふわのクリームですら一晩経つと上部下部で質感が変わってきますのでその都度よく振ってください。ただ、紹介したクリームの良いところは振りすぎて凝固する、といったことが無いことです。そのリスクを避けるために牛乳やシロップで水分を加えています。
多くの人にとって、生クリームは「幸せを感じる食べ物」のひとつと言えます。なぜなら、甘くてクリーミーな食感は、脳の報酬系を刺激し、幸福感をもたらすからです。科学的にも、甘いものを食べると脳内でドーパミンが分泌され、快感を覚えることが知られています。
また、生クリームはケーキやパフェ、パンケーキなど、特別な場面で食べることが多いため、楽しい記憶と結びつきやすいという心理的な要因もあります。「誕生日ケーキの生クリーム」や「カフェでのご褒美スイーツ」といった経験が、幸福感を強めるのです。


