8.抽出レシピのリスク

6.抽出レシピでも触れましたが、コーヒーショップやバリスタが紹介しているレシピには注意すべき点があります。まず挽き目をレシピ通りに完璧に揃えることは難しい。その次にエイジングです。エイジングとは焙煎してからどれくらい経過した豆か、ということですが、エイジングが大きく外れると湯通りに影響を与えます。つまりレシピでは3:00ちょうどで終わるはずなのに時間が近づいても到底目的の出来高量に達しない、ということが起こるのです。そうなると過抽出液が多量に混入しせっかく真剣に淹れたコーヒーが台無しになってしまいます。ではレシピのどこを参考にするべきでしょう。7.抽出の考え方工程を思い出してください。

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46メソッド

このメソッドの要点は抽出までの工程で味の輪郭を整えてしまう、というものです。特にスペシャルティに有効なメソッドといえます4までが抽出工程に当たり6が希釈の工程に当たります。特に前半でスプーンでステア(混ぜる)やスピン(ドリッパーを回す)、落とし切りなどを行った場合、抽出が強く促進されていますので過抽出も早い段階で訪れるリスクがあります。またそういった攻めた抽出は後半で粉が沈澱し湯通りが悪くなりやすく過抽出のリスクを招きます。

過抽出を避けるために

つまるところレシピの多くは前半で味の輪郭をどう整えるか、という方法です、後半に関しては抽出液の状態をよく見て早く注いだり、途中で切り上げてバイパスを行うなどの対策がなければ本来のレシピの再現性は低くなります。その指標となるのは時間です。経験から言えばトップオブトップクラスの高品質のコーヒー豆ならば抽出時間が3:30を少し超えてもネガティブな成分はほとんど感じられません。しかしだからかといって抽出時間を無視していいことにはならないのはやはり心地良い成分は抽出前半にしか出てこないからです。

なぜ昔と今で淹れ方が変わったのか

かつてはお湯はゆっくりと少しずつ注ぎ、時間をかけて丁寧に抽出することが良しとされてきました。今でも深煎りに対しては決して間違った淹れ方とは言えないと思います。散々過抽出が悪いことのように書いてきましたが、実は過抽出の成分はコーヒーのコクに寄与する成分です。もちろん出し過ぎるとエグ味に繋がりますが、深煎りでコクのあるコーヒーが主流の時代では、そういった抽出方法は最適解となります。現在、特にスペシャルティコーヒーではクリーンカップが最重視され、コク(の成分)はネガティブなものとして評価されます。

あとがき

湯温について全く触れませんでしたが、経験から言うとそれこそ豆の個性に左右されるからです。少し前は定説として深煎りは低温、浅煎りは高温と言われていましたが、今は浅煎りでも80度台を勧めている人も珍しくありません。豆の個性とは産地特性だけでなく焙煎士の傾向も含めます。有名なレシピ通りに湯温を調整していた時期もありましたがあまりにも納得が行かなかったので自分で決めることにしました。そして湯温に関して勧めることもやめました。湯温は抽出結果に影響を与えない、と言うことは決してありませんが、やはり相対的なものです。

レシピについても例えば購入先の焙煎所のレシピならば大きに参考になるかと思いますが、ネットに漂っているレシピをやってみる際はぜひ前半に何をやっているかを注視してみてください。

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