3.豆の選び方 焙煎度 産地

ブラジル、ケニア、コロンビア、グァテマラ、エチオピア、メキシコ、etc..コーヒーはたくさんの国で生産されています。それぞれ個性がありますが最初はどれを飲んだらいいか分からないでしょう。でもとりあえず飲んでみるです。味覚は経験で構成されます。こればかりは知識でカバーのしようがありません。

ちなみにコーヒーは赤道を挟んで南北25度のエリアで栽培されます。これを「コーヒーベルト」と呼びます。今回は解説が中心です。先に述べたようにどのようなコーヒーが口に合うかは絶対的に官能によるからです。とりあえず飲んでみましょう。最後に個人的な考え方を述べています。

目次

焙煎度

コーヒーの酸味、苦味のバランスは焙煎度でほぼ決まります。浅煎り、中煎り、深煎りと見聞きしたことがあるかもしれませんが、正しくはもっと細かく表現します。

(浅煎り)

ライトロースト

シナモンロースト

ミディアムロースト

ハイロースト

シティロースト

フルシティロースト

フレンチロースト

イタリアンロースト

(深煎り)

実は「浅煎り」が指すのはライトロースト、シナモンローストまでです。「中煎り」が指すのは「ミディアムロースト」「ハイロースト」。深煎りが「フレンチロースト」以降となります。が、一般に販売されていて「浅煎り」と呼ばれるのは「ミディアムロースト~ハイロースト」の間くらいで、中煎りは「ハイロースト~フルシティロースト」深煎りは「フルシティロースト~イタリアンロースト」であることがほとんどです。つまり専門領域としての共通認識と一般認識にはズレが生じているので、もし焙煎士さんに焙煎度を指定する機会があれば認識のズレがないようによく確認した方がいいです。

ご存知かもしれませんが、焙煎が浅いと酸味が主張されやすく、深ければ苦味が主張されやすいです。優れた焙煎士はどの焙煎段階でも豆の個性を尊重します。何が言いたいかというと、例えば同じケニアのハイローストでも焙煎士が違えば全く別の仕上がりになり得るということです。踏み込んだことを言えば焙煎機でもある程度の傾向はあるのですが焙煎士のコントロールによる影響は絶大です。

鮮度

よくコーヒーの鮮度の話題を目にします。コーヒーには飲み頃というものがあります。焙煎直後、つまり鮮度が良ければ良いほど美味しいは間違えた認識です。焙煎直後はコーヒー豆からガスの放出が盛んなため抽出に最適な状態とは言えません。ならばいつが最適なのか。一般的に焙煎後3日~1週間程度と言われていますが、これも焙煎士によりますので最適を目指す方は購入先の焙煎士に尋ねてみましょう。個人的見解はあとがきに書きます。

産地

冒頭で述べましたがコーヒーの産地特性というものは確かにあります。さらにスペシャルティコーヒーでは国、市、農園、あるいは生産者の名前。ワインと同じく情報が細かくなるほど高価になる傾向があります。しかし同じ農園同じ生産者でも年が変われば違った風味に仕上げてくることは決して珍しいことではありません。私自身、感動を覚えた銘柄でも翌年はそうでもなかった、逆も然り、そしてまるでパイナップルのようなブラジルのコーヒーに出会ったこともあります。

産地特性は確かにあります。しかし消費者の立場としては参考程度の認識に留めておいた方が楽しめるのではないのでしょうか。なので「とりあえず飲んでみる」です。

あとがき

酸味のあるコーヒーが苦手。よく聞く意見です。どこのコーヒーを飲んだのか、出来ることならばハズレを引いた、くらいに留めていただきたいなというのが個人的な感想です。生豆の出来が良ければ、つまりその豆自体が素晴らしいものであれば、それなりの焙煎技術でも美味しく仕上がるでしょう。尖った酸味を残したまま。しかし優れた焙煎士は不快な酸味を決して良しとしません。

先の、鮮度の話ですが、個人的に1週間は必ず置きます。贔屓にしているロースターの豆は8~10日後に香りがピークを迎え抽出が安定をし始めます。焙煎直後のコーヒー豆には焙煎中の香りがしっかりとついています。なので焙煎され変質したコーヒー豆本来のポテンシャルは時間が経ってこそだと思っています。とある有名なロースターのコーヒー豆でも、稀にではありますが焙煎後10日ほどで青臭さが若干出てきたりして私は苦手なものがあります。

焙煎士が変わればコーヒーは変わります。優れた焙煎士は希少です。焙煎士の良し悪しは当然に飲み手の相性があります。おすすめは意味を成さないのです。なので「とりあえず飲んで」みましょう。

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