6.抽出レシピ|比率の重要性

ここからは後半戦。抽出のお話になります。抽出のレシピというものがあります。何gの豆で何ccのコーヒーを作る。その為に何秒で何cc注ぐ。というものです。有名なもので46メソッドという淹れ方がありますね。詳しくは他章で解説します。今回はレシピに対する注意点と豆とお湯の比率についてです。

目次

レシピ

これからコーヒーを始める方にとってレシピは大きな指標であり、当然最初は真似ていく必要はあります。特に抽出器具にv60を選んだ方はむしろ誰かしらのレシピを真似ないとおそらく失敗続きになってしまうのではないでしょうか。しかしレシピはあくまで指標です。抽出という行為を現象ではなく調理として捉えると、食材であるコーヒーの性質に大きく影響を受けることは想像に難く無いのでは無いでしょうか。例えば、こうすれば甘くなる、は全てのコーヒー豆に通づる対象方ではないということです。食材、豆の性質に合わせて調整をする必要があるから調理なのです。

条件を揃える

とあるレシピ通りに抽出を始めるとしましょう。レシピ通りの豆の量、お湯、ドリッパーを用意することは簡単です。深煎り、浅煎りなどの指定があればおおよそ近しい状態の豆を用意することは難しくないでしょう。最も問題なのは挽き目を合わせること、豆を挽いた粒の大きさを合わせることです。タイムモアやコマンダンテなど手挽きのミルは内部のメモリをカチカチと操作することで挽き目を変えられます。故に「タイムモアC3で20クリック」など共通認識の指標は示せるのです。便利な環境だと思います。しかしそもそものコーヒー豆の購入元、焙煎士の傾向、コーヒー豆の処理方法など、が変わると少なからず影響を受けます。ネット上で開示されているレシピがあくまで指標に過ぎないのは条件を完璧に揃えることがこのように難しいからです。
なので一度レシピ通りに淹れてみて少しでも違和感があり、素直に美味しいと思えなければ、まず挽き目を調整することをオススメします。

再現性

再現性とは、同じ条件や手順で同じ結果が得られる可能性の度合いを指します。コーヒー、特にハンドドリップで再現性を求めることはそもそもが至難の業です。4.コーヒー豆の保存」にも書きましたが、エイジングの浅い時期では尚安定性は得られません。しかしある程度のブレは一期一会とも捉えられます。再現性を求めることは調理には欠かせませんが、コーヒー豆等いう食材の性質を加味し、その不安定性自体を楽しんでいきたいと私は思っています。

比率の重要性

レシピの基礎となるのは1杯のコーヒーを作り上げる為に何gの豆を使い何ccの水を使いコーヒーを作るかを設定することです。一般的に1:15と言われることが多くなってきたのでこの比率をベースに自分の好みを探っていくといいかもしれません。1:15とは1gのコーヒー豆に対し15ccの水を使って抽出するということです。例えば10gのコーヒー豆なら150cc、15gのコーヒー豆を使うのならば225ccの水を使います。

極端な例えですがどんなに達人でも10gの豆500ccの美味しいコーヒーは作れません。まずこの濃度の設定が心地よいコーヒーを得るために必要な行為となります。

なぜgで測るのか

ドリッパーだったりコーヒーの粉を買った時にメジャースプーンというスプーンの計りがついてくうることがあります。いちいち電子計りを用意するのが面倒かと思われますが、何故多くのバリスタが重さを測るのか。「2.スケール、温度計、ケトルの必要性」でも書きましたが、深煎りであればあるほどコーヒー豆の水分は飛び、体積は膨張します。浅煎りほど体積は小さく水分も残っています。ゆえに体積で判断するとg数に誤差が生まれるのです。抽出するべきコーヒーの成分は体積ではなく質量に比例します。濃いコーヒーならば豆を多く、さっぱりさせたいなら豆を少なく、という判断は当然で抽出の技術とはひとまず関係はありません。

あとがき

おもしろいことにあえて水の使用量を増やした抽出をするとより甘さを感じることもあります。自身の基本のレシオを持つことはとても大事です。色んな豆をを試していく上で可能な限り変数に当たる部分は減らしていくべきです。同じ豆量でも種類が違えばクドく感じたり物足りなく感じたり。何故そうなのかを考えるのは焙煎士の仕事じゃあどうするかを考えるのがバリスタの仕事だと思っています。有名なレシピ通りに淹れても(可能な限り豆の条件を近づけても)、ピンとこない、ということは大いにあります。抽出は魔法のようですが残念ながら現象ですので数をこなすと結果の予測はある程度ついてきます。そうなれば抽出、それぞれのタイミングの解釈にもつながります。つまり本能的解釈には絶対的に経験が必要です。さんざん述べましたが「こうなればこうなる」の体感を積み上げることが大事です。有名なバリスタの考案したレシピだから、など色々な謳い文句がありますが、ピンとこなければ臆せずに調整に挑戦していただきたいと思います。ひとまずのゴールは自分が美味しいと思えるコーヒーを淹れられるようになることではないでしょうか。

目次