美味しいコーヒーとはなんだろうか②

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抽出するということ

コーヒー豆のコンディションの重要性について、少しでもご理解いただけたでしょうか。コーヒーの味わいを大きく左右する要素の一つとして、焙煎後の日数が挙げられます。焙煎から何日目頃が最適なのかという課題は、消費者にとっては非常に重要ですが、実際のところ、この情報を詳しく案内している販売元は意外と少ないのが現状です。本来であれば、焙煎所や販売店が消費者に向けて丁寧に説明するべきと考えています。しかし、そうした説明が不足していること、あるいはその情報の価値がぞんざいに扱われているのでしょうか。

ここまでで、コーヒー豆の保存状態や焙煎後の日数について触れましたが、美味しいコーヒーを妨げるもう一つの要因、それは抽出器具の選択です。どの器具を使うかによって、コーヒーの味わいは驚くほど変わります。いったい何故そんな事態になるのか以下で少し触れていきます。

抽出器具の選択が抽出レシピを左右する

まず、「コーヒーの抽出器具」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?日本で広く知られている抽出器具の一つに、ハリオのV60円錐形ドリッパーがあります。2005年に発売され2010年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップで優勝したバリスタがV60 を使っていたことでアメリカはもとより、世界で注目を浴びました。日本が誇るべき必ずや歴史に残る逸品です。その美しいデザインと優れたマーケティングにより、世界中のコーヒー愛好家に支持されています。かくいう私もV60愛用者であります。しかし、この器具には、実は少々注意が必要です。というのも、V60はその形状の特性上、自由度が高すぎるため抽出時にある程度の技術や経験が必要であり、初心者向けというには少し意地悪な気がしています。

V60の抽出には、高度なコントロールが求められます。たとえば、お湯を注ぐスピードや量、ドリップの角度など、それらがダイレクトに抽出の結果に影響を与えます。これが魅力でもありますが、初心者が最初からこの器具を使うと、思ったような味わいを引き出せずにがっかりしてしまう可能性があります。そのため、コーヒーを始めたばかりの方には、次の器具を検討することをお勧めします。

初心者にぜひ試していただきたいのが、カリタのウェーブドリッパーです。この器具は、独自の台形のデザインが特徴で、初心者でも安定した抽出を実現できます。ウェーブドリッパーはお湯の流れを均一に保つ設計がされており、V60のようなテクニックを必要としません。そのため、初めてコーヒーを淹れる方でも、工程を楽しみながら比較的簡単に美味しい一杯を楽しむことができます。

また、カリタのウェーブドリッパーは再現性の高さも魅力です。一度自分好みの抽出方法を見つければ、何度でも同じ味わいを楽しむことができます。これにより、初心者でもコーヒーを淹れることへの自信を深められるでしょう。

コーヒーの抽出方法の手段

コーヒーの抽出方法には大きく分けて二種類があります。一つは、「浸漬式」と呼ばれる方法で、コーヒーの粉をお湯に浸して抽出するものです。代表的な器具にはフレンチプレスがあります。もう一つは、「透過式」と呼ばれる方法で、いわゆるハンドドリップを代表とするものです。V60やウェーブドリッパーがこのカテゴリに該当します。

浸漬式では、コーヒーの粉が完全にお湯に浸かるため、一定の圧力が均一にかかります。一方、透過式ではお湯が上から注がれることで水流が生まれ、圧力に変化が生じます。この違いが、抽出時間や味わいに大きな影響を与えます。

エスプレッソ(加圧式)は割愛します。


抽出時間と器具の特性

抽出時間を基準にすると、各器具の特性がよくわかります。たとえば、フレンチプレスのような浸漬式では、抽出時間は約4分前後が適切とされています。この時間を超えると過抽出になり、エグみや渋みが強調されてしまいます。一方で、ハリオV60などの透過式で4分もかけて抽出すると、同じく過抽出となり、理想的な味わいが損なわれることがあります。

その点、カリタのウェーブドリッパーは、初心者でも抽出時間を安定させやすい設計が施されています。ドリップ中にお湯がフィルター内を均一に流れるというより滞るため、適切な時間で抽出を終えることが可能です。この安定性が、初心者にも美味しいコーヒーを淹れる喜びを提供してくれるのです。


抽出器具を選ぶということ

コーヒーを淹れる際、どの器具を選ぶかは味わいに直結します。その違いを知り、自分の好みに合った器具を選ぶことで、コーヒー体験はさらに深まります。また、初心者にとっては、最初の一杯が成功することが重要です。カリタのウェーブドリッパーのような器具を使うことで、簡単に美味しいコーヒーを淹れることができれば、よりコーヒーの楽しさを感じられるでしょう。

抽出器具はあくまで一つの要素に過ぎませんが、その選択次第でコーヒーの味わいが劇的に変わります。初心者の方には扱いやすい器具から始めることをお勧めします。そして、コーヒーの抽出に慣れ、知識が深まったら、より様々な器具に挑戦してみると良いでしょう。コーヒーは単なる飲み物ではなく、淹れるプロセスそのものが楽しみでもあります。その1杯はきっとあなたに新たな喜びをもたらしてくれるはずです。

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