コーヒーに入れる砂糖。砂糖にも種類があるってご存知ですか?
あなたのコーヒーにベストな砂糖を見つけてみるのも楽しいかもしれませんね。
砂糖の解説|種類
砂糖の種類には、上白糖、グラニュー糖、ザラメ、三温糖、角砂糖、氷砂糖、液糖など形状によって様々な呼ばれ方をしますが、これは結晶の形状に由来します。
ここでの砂糖の種類は「サトウキビ由来のきび糖」「甜菜由来の甜菜糖」を指します。
同じ砂糖ですが実は甘さの感じ方が微妙に異なります。形状としてはグラニュー糖を前提とします。
日本国内の流通比率はサトウキビ8割、甜菜糖2割と言われています。グラニュー糖の成分表示にある「原料糖」は2種類が混ざっています。アメリカやヨーロッパは甜菜糖が主流です。

サトウキビ
日本国内で流通してる砂糖の8割はサトウキビが原料です。
サトウキビの生産エリア
サトウキビは温暖な気候を好むため、世界的には以下のような国々で盛んに生産されています。
- ブラジル(世界最大の生産国)
- インド(砂糖消費量も世界トップクラス)
- タイ(アジアの主要輸出国)
- オーストラリア(高品質な砂糖を輸出)
- アメリカ(フロリダ州、ルイジアナ州)
日本国内では、沖縄県や鹿児島県の南西諸島(奄美大島、徳之島など)が主要なサトウキビの生産地です。特に沖縄県は日本国内の生産量の大半を占めています。
サトウキビの発祥の地
グラニュー糖の原料であるサトウキビの歴史は古く、起源は約4000年前のインドとされています。そこから東南アジア、中国、中東へと広がり、アラビア商人によってヨーロッパにも伝わりました。17世紀ごろには西インド諸島でプランテーションが発展し、大規模な生産が行われるようになりました。
グラニュー糖そのものの製造技術は19世紀にヨーロッパで発展し、特にフランスやイギリスで普及しました。日本では明治時代に製糖技術が確立され、現在に至っています。
サトウキビの精製方法
グラニュー糖は、サトウキビの搾り汁から作られます。基本的な工程は以下のとおりです。
- 搾汁:サトウキビを圧搾し、糖分を含む汁を抽出する。
- 濃縮・結晶化:搾り汁を加熱・濃縮し、砂糖の結晶を形成させる。
- 分離・精製:糖蜜(モラセス)を分離し、結晶化した砂糖を取り出す。
- 乾燥・粉砕:結晶を乾燥させ、均一な大きさに整える。
サトウキビの味の特徴
この過程を経ることで、純度が高く、クセのない甘みを持つグラニュー糖が作られます。甜菜糖に比べて結晶が細かいため、食材とよくなじみ、均一に甘みを加えることができます。

甜菜糖
甜菜糖(てんさい糖)は、サトウキビではなく「甜菜(ビート)」と呼ばれる植物から作られる砂糖です。寒冷地での生産が可能であり、日本では主に北海道で栽培されています。
甜菜糖の生産エリア
世界的には以下の国々で甜菜糖の生産が盛んです。
- ロシア(世界最大の甜菜糖生産国)
- ドイツ(ヨーロッパの主要生産国)
- フランス(高品質な甜菜糖を輸出)
- アメリカ(中西部地域で生産)
- 日本(北海道)(国内唯一の生産地)
甜菜糖の発祥の地
甜菜糖の発祥は 18世紀後半のヨーロッパ です。具体的には、1747年にドイツの化学者アンドレアス・マルクグラフ(Andreas Marggraf)が甜菜から糖を抽出できることを発見しました。彼の弟子である フランツ・アッハード(Franz Karl Achard)がこの研究を発展させ、18世紀末にはプロイセン(現在のドイツ)のシレジア地方に世界初の甜菜糖工場を建設しました。
19世紀初頭、ナポレオン・ボナパルトがイギリスによる砂糖の海上封鎖(大陸封鎖令)への対策として甜菜糖の生産を奨励し、フランスやドイツを中心に甜菜糖産業が発展しました。その後、ヨーロッパ全域やアメリカ、日本などに広まり、現在に至ります。
甜菜糖の精製方法
甜菜糖の製造工程は以下の通りです。
- 洗浄・細断:甜菜を洗浄し、細かく刻む。
- 抽出:お湯を使って糖分を抽出。
- 濃縮・結晶化:抽出液を濃縮し、結晶化させる。
- 分離・乾燥:糖蜜を取り除き、糖の結晶を乾燥させる。
甜菜糖の味の特徴
甜菜糖は、グラニュー糖に比べてまろやかな甘みがあり、コクがあるのが特徴です。また、オリゴ糖を含んでいるため、腸内環境を整える働きがあると言われています。

白砂糖
白砂糖は身体に悪影響(漂白されてる?)などと言われていた時期もありますが、それは結晶が無色透明で白く見えるからです。冒頭での述べましたが日本国内でのグラニュー糖はサトウキビと甜菜糖が混合されている場合がほとんどです。もっとも身近な甜菜糖は「スズラン印」のグラニュー糖ではないでしょうか。クリアでコクのある甘みです。

サトウキビ由来のグラニュー糖と甜菜糖は、それぞれ異なる原料と精製方法を持ち、それぞれ独自の特徴を持っています。グラニュー糖はクセのない甘さと溶けやすさが魅力、甜菜糖はまろやかでコクのある甘さが特徴です。コーヒーにどちらが合う!はそれぞれの好みによりますが、それぞれのコーヒーにベストな甘みを見つけることは、思いのほか奥の深い世界かもしれません。


