「売れる」を続けるためには?再現性のコツ

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小規模店舗における商品の再現性


小規模なカフェやコーヒーショップでは、再現性の確保についてどのように取り組むべきでしょうか。実は私の専門はこちら側です。再現性の確保は、店舗の信頼やブランドイメージを支える基盤であり、小規模店舗にとっても避けては通れない課題です。小規模店舗において商品の再現性を確保することは、店舗運営の基盤であり、信頼やブランド力を向上させる鍵です。再現性は単に味や見た目の安定性を保つだけでなく、顧客がその店舗に抱く期待を裏切らないための重要な要素でもあります。それこそ、ラテアートのような視覚的な楽しみから、見た目も美しい甘く美味しいドリンクまで。



ラテアートと再現性

インスタグラムやTikTokなどのSNSを見ていると、美しいラテアートの動画が頻繁に投稿されています。これらは多くの場合、街中のバリスタたちが日々磨き上げた技術の成果です。ラテアートは単なる視覚的な楽しみを超えて、カフェの「顔」としての役割を果たししているのが現状です。今では東京のLATTE ART MANIA TOKYOが現在では最たる存在ではないでしょうか。SNSでラテアートを見て来店したお客様に対し、期待を裏切らない一杯を提供することが、店舗の信頼や評判を高める鍵の一部となるのです。

ラテアートを上達させるためには、専門的なセミナーに参加することも有効ですし、SNSで他のバリスタの技術を研究することも役立ちます。ラテアートは個々の努力と練習によって向上できる分野であり、一定の再現性を持たせることが可能です。しかし、見た目が美しいだけでは不十分です。あるいはラテアートを描くためには、質の高いエスプレッソが不可欠であり、そのための技術と知識は必要不可欠です。


味の再現性と重要性

ラテアートだけでなく、コーヒーの味の再現性も小規模店舗にとって重要でそして困難な課題です。「美味しいコーヒーとはなんだろうか」で述べたように、コーヒーの味わいを一定に保つためには、バリスタがしっかりとした知識を持ち、訓練を積む必要があります。カフェを名乗る以上、コーヒーの品質に責任を持つことは避けられません。

エスプレッソの抽出は、豆のエイジング、挽き目、水温、抽出時間など、さまざまな要素が絡み合い、最終的な品質が決まります。この工程には繊細な調整が求められます。それでも、店舗で提供するコーヒーが常に一定のクオリティを保つことは、顧客満足度や信頼性を向上させるための必須条件です。

甘いドリンクと再現性


コーヒーはまずい」で述べたようにお客様の75%は甘いドリンクをオーダーします。ここの再現性は徹頭徹尾確保する必要があるのです。それは店舗の信頼、つまりブランディングに直結するからです。本ブログで紹介するレシピでは、メーカーのシロップやソースを使用する方法だけでなく、抹茶やほうじ茶のシロップを自家製する方法も提案しています。例えば、シロップ40ccを牛乳160ccで割るといったシンプルな比率に基づくレシピがあります。このようなシンプルかつ明確な配合を採用することで、誰が作っても再現性を確保することが可能です。さらに、高糖度のシロップを作成、使用すれば、日持ちが良くなるため、効率的なオペレーションを実現することができます。ただし、賞味期限管理は怠らないように注意が必要です。


ドリンクであっても見た目や盛り付けが求められる時代なのは業界に身を置く方々に周知の事実でしょう。例えば二層、あるいはグラデーションを持たせたり、ハーブを添える、クリームを浮かせるなど。さらにその工程自体もお客様を楽しませる「商品の一部」となりえます。二層以上にする為には液体ごとの比重を考慮する必要がありますし、クリームを浮かせる為には沈みにくいクリーム自体のレシピを考案する必要があります。見栄え良くスピーディーにドリンクを綺麗に作り上げる為にはラテアートよろしくある程度の訓練、つまり技術も必須です。さらにデザートと違い液体は時間経過と共に変化していきます。例えばアイスのカフェラテを作るとしましょう。氷をグラスに入れ牛乳を注ぎます。浮いた氷を目掛けて優しくエスプレッソを入れると綺麗な二層のカフェラテが出来上がります。しかしそのまま5分も置いていれば氷が溶け透明な水分が最上部に浮き上がりエスプレッソは牛乳に混ざっていきます。そんなものがSNS上に上げられてはたまったものじゃありません。抹茶ラテやシロップを使ったソーダやアイスクリームを乗せたフロートも同様に。


オペレーション

つまり「効率的なオペレーション」とは楽をするためだけではなく、「仕上げ」の工程部分を置いてどれだけ複数の商品を並列に進められるかにもかかってくるのです。砂糖を過量に使い糖度を上げれば比重差はより簡単に作れます。ただそれは甘すぎるドリンクです。毎時間多忙なチェーン店なら許されるかもしれませんが、小規模であることの最大のメリットは技術の共有です。

小規模店舗では、限られた人数限られた空間で運営しなければいけません。そのため、提供するメニューのバランスが非常に重要になります。手間をかけるべきメニューと、スピーディーに提供できるメニューを適切に組み合わせることで、効率的な運営が可能になります。このような工夫により、少ないリソースでも顧客に満足してもらえるサービスを提供できるのです。ここで注目したいのは、手間(つまり工程の複雑さ)と商品のクオリティが必ずしも比例しないという点です。「効率的なオペレーション」を実現するためには、工夫を凝らし、無駄な作業を省くことが求められます。一度に大量のシロップを作っておくことで、日々の作業負担を軽減する方法もその一例です。

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